日本臨床皮膚科医会
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皮膚の病気

さまざまなひふの病気について、症状などをわかりやすく解説しています

こどものやけど(熱傷)

子供の熱傷の治療例


2日前に反射式ストーブで受傷(第3病日)。抗生剤の内服と殺菌作用のある泥膏で治療開始。

 こどもの熱傷は、後にケロイド(皮膚が盛り上がって固くなる状態)を生じやすいことから要注意です。特に手にケロイドを生じると指を動かしにくくなり、手術を要する場合もあります。そのために、大人と比較してこどもの熱傷では、初期から充分な治療を行う必要があります。
 子供の熱傷の原因としては、ラーメン、みそ汁、炊飯器の蒸気、アイロンやストーブなどが多く見られます。ストーブへの接触は、ストーブを出したばかりの秋口としまう前の春先に多く見られます。
 熱傷の後にケロイドを残すかどうかは、その熱傷の深さが重要です。熱傷の深さは、熱傷の原因となる熱源の温度×触れた時間で決まります。服を着ている部位に熱い液体がかかった場合の温度は100度以下ですが、服に熱源が付着して比較的長い間触れるため深い熱傷になりやすいです。ストーブやアイロンは、より高温であるために短時間の接触でも深い熱傷になります。
 熱傷の局所の治療として、家庭で最初にやっていただきたいのは冷やすことです。それにより、痛みや熱傷の範囲の拡大を抑えることが出来ます。冷却方法としては水道水でタオルやガーゼを濡らしてそれをあてます。氷等は冷やし過ぎになりますので避けてください。熱傷の範囲の広い場合、水ぶくれを生じた場合は、早めに医療機関を受診してください。初期の赤くなっている部位はステロイドの外用により、水疱になることを防ぐことが出来る場合もあります。ただし、ステロイドの使用は受傷から3日目までとされております。水疱の破れている場合や受傷後3日目以降では感染のコントロールが重要になります。塗り薬としては殺菌作用のある、抗生物質、あるいは、消毒作用のあるものを選択します。これらはジクジクした液体が出なくなる頃(3〜7日間程度)まで続けます。その後は、血液の流れを良くするもの、肉の上がりを良くするものなど傷の治りを早める薬に変更します。皮膚が出来た後も赤みやケロイドなど症状の残る場合は治療を継続します。
 熱傷の治療では、バイ菌の感染(二次感染)を起こさない事も大事です。二次感染が起こる事により、熱傷はより深くなり、ケロイドを残す可能性が高まります。小さいこどもの手の熱傷の場合、様々なものに触れて汚してしまうことや自分でガーゼを外してしまうことなどから二次感染の可能性は高くなります。熱傷に対して、一律に抗生物質(化膿止め)を投与することの是非は意見が分かれるところでありますが、清潔な状況を保ち難い場合は積極的に投与すべきと考えます。
 熱傷の治療はこの方法だけではないために、どんな治療を選択するかは担当の先生と良く話し合って決めてください。ただし、自己判断で治療をやめるのは危険ですので、担当の先生から大丈夫と言われるまできちんと通院してください。

(岩手県支部 瀬川 郁雄)


ジクジクした液が出なくなる(第5病日)。肉の上がりを良くするスプレーを開始。抗生剤の内服は継続。

上皮化進行(第9病日)。抗生剤の内服は中止。皮膚を守る軟膏を併用開始。

上皮化終了(第17病日)赤みが残るため、弱いステロイドの外用に変更

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